唐突ですが、タケウチさんの記事に触発され、自分も去年観た映画で印象に残っているものを備忘録的に書き留めておこうかなと思いたった次第です。順番は適当です。それ、順不同っていうんでしたっけ。

転々』(監督 三木聡/2007)
毎月一日は映画の日、ということで映画館で安く映画が観られるその日に何かしら映画を観に行くことが多いのですが、十二月一日はこれと云って観たいものもなく、友人と二人で「適当に何か観るべ」というノリでたまたま観たこの映画、予想外に良かったなと。
まず主演の三浦友和がかっこええなーと。観てすぐに「お、三浦友和じゃん」ていうのは分かったんですが、相当崩れたオジサンの役柄に完璧に入り込んでいて、観るうち途中から「このオヤジ、本当に三浦友和なのか」という疑念が沸くほどでした。それほど三浦友和の演技が素晴らしかったです。
助演のオダギリさんはそつのない感じ。ただ、最後近くの食事のシーンはすっごく良かった。
映画としては、つげ義春的なおかしみとか、多分監督はその辺りを観て欲しかったんだと思いますが、自分は悲しさっつかペーソス?が印象に残りました。

ヒロシマナガサキ』(監督 スティーブン・オカザキ/2007)
原爆についての優れたドキュメンタリーです。泣かすでも脅かすでもなく、冷徹な視点と揺らぎ無い信念。「希望は、戦争。」の2007年、この映画と出会えてほっとしました。

パラダイス・ナウ』(監督 ハニ・アブ・アサド/2005)
ちょっとイスラエルへ自爆テロをしに行ってきますぅ。
「自爆テロ」(公式サイトを読むと「テロ」という犯罪めいた言葉ではなく「攻撃」という言葉が推奨されています)が身近なものとしてあるパレスチナの若者を描いた映画。こういう話をリアリティを持って感じるには自分はあまりに勉強不足なんですが、だからっつって知らんぷりする訳にも行かないですしね。

不都合な真実』(監督 デイヴィス・グッゲンハイム/2006)
観てない方はだまされたと思ってぜひ一度ご覧あれ。でも毛嫌いする人もいますねきっと。ミスター・チルドレンの歌ですら説教くさいから嫌いっていう人がいるし。

チーズとうじ虫』(監督 加藤治代/2006)
これを渋谷の映画館で観た帰り道、どうしようもなく泣いてしまいました。なんの衒いもなく。
普段は、家族という制度に幻想を求めたりしないぞーなんて思ってたりするんですがねー。ノスタルジーなんでしょうか、心に響いちゃって響いちゃって。たぶん、歳だから、なんですよね。
手ブレしたデジタルビデオの映像は、今の時代のホームビデオそのもので質感としてはありふれたものなんですが。何なんでしょうねー。もしやこの監督は映像センスが天才的なのかもしれません。

ショートバス』(監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル/2006)
性交シーンとかはですね、全然衝撃でもなんでもなくて。どう考えても普通のポルノのほうが全然すごいことになってるわけで。むしろこれはかなり真面目な映画なのでわ? そこが良かったです。この監督はあの『ヘドヴィグ・アンド・ジ・アングリーインチ』(だったっけ)を撮った方で、実は自分は『ヘドヴィグ~』は未見なのですが、こっちに関してはきれいで分かりやすいという印象でした。

『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(監督 ロバート・アルトマン/2006)
群像劇が好きなんですよね。これは観終ったあとの余韻も良いです。ジーーーン。

初戀』(監督 今泉浩一/2007)
ゲイの高校生が主人公の映画となるとどうしても橋口亮輔監督の『渚のシンドバッド』を思い起こさずにはいられない。『渚~』は自分のオールタイム・フェイバリット(ていうんでしたっけ)なので、それとこれを比べること自体間違ってる気もするが、にしてもこちらは映画としてはあまりに未熟だ。演技も脚本もひどい。映像の文法も成り立っていない。まるで言葉を覚えたての赤ん坊が喋るのを聞いて何を言わんとしているのかを汲み取ってやらなければいけないようなもどかしさ。
ではなぜこの映画が印象に残ったか。それはひとえに、主人公の少年に自分を重ね合わずにおれなかったからだ。あ、個人的すぎちゃってすみません。
少年が、初めて自分以外のゲイと会い、さらに初めて他人に「僕、ホモなんです」と告白をして泣き崩れ、その「気持ち悪いホモ」である自分が受け入れられてゆく、夜の橋から公園までのシーン。そのシーンを観ているあいだじゅう、ひどく動揺してしまった。今年、映画を観た中で、一番動揺した。
もう四十を前にして、皮肉や晦渋や韜晦にも飽きて多少のことでは動揺などしないと思っていたがこのザマ。いったいいつになったら・・。