話題の『ブロークバック・マウンテン』、観て参りました。
いや~ほんと、「観て」「参りました」よ。
はい、ここ駄ジャレになってます。
全国でロードショーが始まるのはこの後、18日からなんですが、渋谷のシネマライズって映画館で先行ロードショーがあったので、実はこの前の7日に観てきました。地元の映画館での公開を待ちきれなくて。
前評判で、ひょっとしたらアカデミー作品賞取っちゃうかも!みたいなことが言われてて、真正面からゲイを扱った作品で作品賞って今までのアカデミー賞の長い歴史の中でも一度もない(ですよね?)し、そういうことを知るにつけ、日本で公開される前から勝手に自分の中で盛り上がってました。
で、映画と真剣勝負するつもりで一人で観てきました。

ブロークバック・マウンテン監督: アン・リー
ジェネオン エンタテインメント
¥ 3,990 (定価)
在庫切れ (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)

(私のおすすめ度)

(Amazonおすすめ度)
DVD
在庫切れ
(価格・在庫状況は3月10日 14:08現在)
もう観てから1週間近く経つんですけど、困ったことに、いまだにあの映画を観た感想をうまく言葉にできません。
「面白い映画だった」っていうのも違うし、「つまらない映画だった」というのも違う。
なんか、そういう単純な二分法では語れない、周囲の評価などと関係なく屹立しているような映画でした。
観終わって色んなことが分からなかったので、映画館を出たあと本屋に寄って、発売されたばかりの原作の邦訳を買って帰りの電車ん中で一気に読みました。

ブロークバック・マウンテンE・アニー・プルー
集英社
¥ 400 (定価)
¥ 400 (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)

(私のおすすめ度)

(Amazonおすすめ度)
文庫
在庫あり。
(価格・在庫状況は3月10日 14:08現在)
原作を読むとある程度映画の謎も解けるっていうか、「あそこはああいうシーンだったんだ」と分かる部分もあります。
あるんだけど、やっぱり映画は映画で原作に基づきながらも独自の解釈や原作にないシーンなどがあって、それがストーリーに奥行きを持たせ、あの映画独自の魅力にもなってるので、原作を読んで映画を分かった気になるのもちょっと違うかもしれません。
ちなみにそのアニー・プルーの原作は良かったです。乾いた暗喩、最小限の人と物、言葉にならない感情を描こうとしてうっかり詩的になる文章。自分はアンダスンの『ワインズバーグ・オハイオ』という短編集を思い出しました。(特に「手」っていう超絶にやりきれない短編。)ぜんぜん関係ないけど、『ワインズバーグ・オハイオ』はいい本だと思うのでよろしければご一読を。

ワインズバーグ・オハイオシャーウッド アンダソン
講談社
¥ 998 (定価)
¥ 998 (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)

(私のおすすめ度)

(Amazonおすすめ度)
文庫
在庫あり。
(価格・在庫状況は3月10日 14:08現在)
そんでふと、映画の内容とか観た感想について、きちんと文章化できないんだったらせめて箇条書きにしてみようかなと思い立っちゃいました。どうでしょうか。すいません。
映画の内容は、
1) 演技 > セリフ
2) 感情 > 理屈
3) 曖昧 > 明解
4) 淡々 > 起伏
5) やりきれなさ > 切なさ
こんな感じ?ってどんな感じだよ。
で私の感想は、
a) 演技は本当に、本当にすごい。
b) でも人物に共感できない。シリアスすぎて安易な共感を許してもらえない。
c) 話の大筋は分かったと思うが、映画そのものは分かった気がしない。
d) 物語だけを捉えると正直言ってつまらない。
e) 一箇所たりとも笑うところがない。考えてみれば近年こんな映画も珍しい。
なので、まったく「ハリウッド的」な、言い換えれば「アカデミー賞」的な映画ではないと思われます。
いわゆるウェルメイドな、ウディ・アレンとか、ああいうストーリーテリングのうまさもないし、かといってヒューマンドラマ的な、ロビン・ウィリアムズが画面いっぱいに熱演してくれるような、そういう感動もないんですよね。
監督のアン・リーが台湾出身だからって、同じ台湾の侯孝賢監督を引き合いに出すのもアレですかね。
でも侯孝賢の『恋恋風塵』とか『悲情城市』、あれもまったく淡々とした映画で観た当時そのドラマ性のなさに驚きましたけど、かなり近いものを感じましたです。
アカデミー賞発表の舞台で、大トリの作品賞を読み上げるプレゼンターのジャック・ニコルスンが、封筒を破って最優秀作品賞の名を読み上げる前に一瞬怪訝そうにも見える表情をしたのが印象的でしたが、結局『ブロークバック・マウンテン』は、アカデミー作品賞以外の数々の賞を取りながら、アカデミー作品賞だけは取れなかったわけです。
しかし、前述しましたように個人的にはアカデミー賞向きの映画じゃないと思ってるので、それはそれでいいです。逆にアカデミー以外の賞を総なめにしていることが驚きです。
私はこの映画を、自分内映画ランキングでベスト10に入ると思ってますが、多くの人が楽しめる映画ではないような気がするのです。
別に、この映画の良さはおれにしか分かるまいとか、そういうことを言いたいわけじゃなくて、例えば映画を観る時に「スカッとしたいから」とか「金のかかった大作を観てうぉーって盛り上がりたいから」って時もあるでしょ。そういうのを観たいって人には、絶対勧めない。
あと「泣きたい」って人にも勧めません。実際おれは泣けなかったもん、ひとっつも。辛すぎて。
作品賞の選考では『ブロークバック・マウンテン』に投票したらしいジャック・ニコルスン。彼がかつて主演した『カッコーの巣の上で』はものすごく好きな映画で、個人的には『ブロークバック・マウンテン』に通じる味わいがあると思っていますが、『カッコー~』のほうは確かアカデミーの作品賞取ってるんだよね。
時代が変わったのか、扱ってるテーマが違うからか・・・。
いろいろ考えてしまいますが。